生米プロジェクト

会社退職→結婚→夫は日本に置いてイギリスでゲル生活→現在プラハ

製薬会社・医療機器メーカーで営業すると、こうなる

医者相手の仕事というのは、特に大きな病院だと、2時間廊下で待って、お目当ての先生(=顧客)がきたら、タタタター!とゴキブリの如く駆け寄って、ときに歩きながら、ときに数秒、必死こいて話すこと。MR(Medical Representative)なんていう、全国・県内・エリア内に同業他社も山ほどいる仕事をしている人たちは、狭いエリアを、例えば大学病院ひとつだけ担当して、毎日毎日、朝の挨拶から始まってランチどきのうすら寒い微笑み、診療後8、9時のねぎらいまで、それこそ病院に住むようにして、医師の痒い所にてが届くような存在になって、薬を使ってもらうようにすることも多い。

これに意味を見出す医者も医者だけども、大切にされていること、頑張っている姿勢を見せること、これは顧客の尊厳にグググと効いてくるらしい。

最近は徐々に規制されてきて、そういう業者が立ち入っていい院内のエリアが制限されたり、アポをとらないといけない病院も増えた。当然だ。患者さんからすれば、薄暗い廊下にぴしーっと並んだ黒スーツの大群は、異様でしかない。

 

そんな私も新入社員の頃、田舎で医者相手の営業になった。まー、3年働いたら、やめるかな、と思っていたから、なんとなく働き始めた。そして、先輩との初営業同行。当時は、一瞬だけ初々しい新入社員だったはずだけれど、それは初日にして絶望に変わった。

夕方、車に乗せられた私は、某旧帝大大学病院の医局へ。先輩は、静かに、忍者のように歩くように言った。辺りには誰もいなかった。

先輩は、私を物陰に待たせ、「お前、ちょっと待て、俺行ってくっから!」としゅぱぱぱぱと、医局の扉へ。そしてしばらくして、「ごにゃごにゃごにゃ…いひひ。。えぇ、ええ…ありがとうございました!!!!」と数十秒誰かと会話して、「いや〜、よかったわ〜、今日あの先生に会えたっぺ〜〜〜〜」と、満足気に帰ってきた。

こ、これが仕事だったのか!?と、つらさ厳しさ以前に呆気にとられ、社会人として、自分はこれからこんなふうに時間を浪費し続けなければならないのかと青ざめたのを、よく覚えている。

 

それでも、製薬・医療業界というのはとても儲かるので、大手だと年収1,000万円を超える会社もあって、勤務医より稼いでいたりする。中堅どころの会社でも、他業種よりはまったり、収入面でも安定的に働けるのではないか。同業他社との競争が激しい、などはもちろんあるけれど、とはいえ医療業界は税金で成り立っているので守られているし、安定もしている。2時間待ちぼうけたりするのは退屈だけれど、スマホをいじったり、仲良しの同業他社の人と噂話やバカ話をしていれば、なんとなく過ぎる。転勤はよくある会社が多いと思うが、同業他社への転職も盛んだ。あまりその労働の意味や意義を考えずに楽に行きたい人には、いい仕事だと思う。

自分はもうやりたくないけれど。