生米プロジェクト

会社退職→結婚→夫は日本に置いてイギリスでゲル生活→現在プラハ

シュタイナー学校の生徒たちと過ごした2週間

先週から、ロンドン郊外にあるKings Langley Schoolというシュタイナー学校の14〜15歳の生徒34人がEmbercombeを訪れていました。生徒層はというと、シュタイナー学校の学費(ものすごく高くはないが)を払う余裕のある家庭の子でありつつも、障害を持っていたり、ドイツやイタリアのシュタイナー学校からの留学生もいました。

シュタイナー教育 - Wikipediaについては私も大学の頃に調べたことがあったのですが、子どもの成長に合わせた学習体系をとり、絵画や音楽といった芸術を重視していたり、8年間の担任持ち上がり制があるなど、なかなかユニークな教育です。感性を育む上ではいいんじゃないかと思うのですが、ドイツの普通教育を受けた友人と話していたときには、「ああ、あのちょっと変な学校ね」と言っていたので、ノーマルであるとは言いがたいのでしょう。

info.e-waldorf.com

しばらくシュタイナー教育のことは頭から消えていたのですが、Embercombeはそんなシュタイナー学校と深い関わりがあり、子ども向け教育プログラムでEmbercombeを訪れる多くの学校はシュタイナー学校だということでした。

そして今回はEmbercombe史上初の、11日間という長期間にわたる子どもたちの教育プログラムでした。私が14、5歳と言うと、どんなだったかなと考えると、部活ばかりして、高校受験の勉強を始めた頃で、やんちゃな学校でしれっと静かに過ごしてたなあ、と思います。夏休みでもないのに部活も勉強もしないで11日間も学校の友達と農園で過ごすとしたらきっと「何だそれ」と思ったろうなあ。。

彼らの滞在は、昼間は私たちと一緒に働き、夕食後は暖炉を囲んで子どもたちだけでまた少しプログラムがある、というものでした。

 

それぞれの11日間

私が農作業担当だった日に、初めて彼らと一緒に働くことになりました。34人が7、8人に分かれ、それぞれの班にシュタイナー学校の先生やEmbercombeのEducation Teamのスタッフがつきます。

最初に輪になって、EmbercobeでのGardening Teamの働き方などのレクチャーと、それぞれの自己紹介、今の気持ちを話すチェックインをしました。「楽しみにしています!」という子もいれば、「一体どういう日々になるんだか…」だとか「正直土いじりなんてしたくないの。手も服も汚れるし」という都会っ子発言も。大人たちは皆ニコニコ聞いていました。

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収穫作業をしていたかと思ったら、雑草で遊んでいたり、仕事せんかい!と思うようなこともありましたが、他の大人たちはあまり気にせずみんな働いていました。あまり英語のできないイタリア人の男の子をからかう悪い子もいたり。キッチン担当の時には味見しまくり、必ず音楽をかけ、みんなで歌っていました。

先週日曜にはEmbercombeのお祭りのような、Open DAYというものがありましたが、皆楽しそうに働いていました。私はそのときカフェ担当だったのですが、同じ時間に3人の子どもたちと働くことになりましたが、Aくんには学習障害、Bちゃんには不安障害のようなものがあると聞かされました。同時に多数の物事が進行したり、計算することが苦手なようです。初めはあまり気づかなかったのですが、

 

Aくん「£10−£4は、、£5かな…?」

私「いや、£6じゃないかなあ、、」

 

と、いうようなこともありましたが、笑顔で本当によく働いていました。シフトの時間が終わっても手伝いたい!と言ってくれたため、いてもらいました。サポートでついていた先生と話していたところ、「初めは二人とも、自分にはカフェなんてできないと言っていたけれど、今日の経験は彼らに自信を与えたと思う」と言っていました。

1週目はいろいろな仕事を持ち回りで経験し、2週目は自分の好きな仕事を選ぶのですが、あの2人はキッチンの担当になっていました。

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子どもたちに学校の話を聞いてみると「楽しいよ!」という子が多く、とても個性豊かに見えました。研究対象を自分で選び、発表するという課題が与えられた際に、自分でビジネスをした!と得意気に語るカシコソウな少年もいたり。

日に日にクラスの結束が高まっているなーと思ったり、ボランティアでする昼食後の皿洗いにも何人も手をあげる生徒たち。

最終日、これまでの体験を発表する会があり、私も参加してきました。「サバイバルスキルを学ぶのかと思っていたけど、もっとメンタルなものだった。思ったほど悪くなかった」という声が多くありました。

椅子に座って話す子もいれば、地べたに座る子も、立って話す子も、Bちゃんはみんなの前には出られないからということで、見学席に座ったまま話していました。詩を書く子もいれば、仲間を呼んで踊る子も。

夜にEmbercombeのスタッフからバンジョーを教えてもらい、練習していた子は、みんなの前で歌いながら演奏していました。つっかえつつ、決して上手とは言えなかったのですが、いつもうるさいみんなもしんとして聴き入り、歌い終えた後には大きな拍手。嬉しそうな彼の笑顔に胸が熱くなりました。

みんな思い思いではありましたが、何かを感じた子も少なくなかったのではないでしょうか。金曜日、そんな彼らは早朝にもかかわらず、モップがけまでしてゲルを去って行きました。

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ある日コリアンダーの芽を植えながら、シュタイナー学校の先生と話したときのこと。

私「シュタイナー学校の生徒はとても生き生きとしていますね。卒業後一体どんなことをしている子が多いんですか?」

先生「配管工から学者まで、いろいろだよ。ただ大切なのは、みんな自分のしていることが大好きだということさ。私もシュタイナー学校に通っていたし、シュタイナー教育にとても感謝している。そしてこの仕事がとても大好きなんだ。」

愚問だったなあ、と思いつつ、私は一体どうなんだろうと考えたり。大事なことを教えてもらった11日間でした。

 

 

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