生米プロジェクト

会社退職→結婚→夫は日本に置いてイギリスでゲル生活→現在プラハ

正しくわるいことをする ー廃棄食材を求めてー

今週、日付も変わろうかという頃、スーパーに潜入し、盗みを働いてきました。この年になって、こんなことするなんて、思ってもみなかった。。

 

事の発端は先週Embercombe外で行われた、同僚ボランティアの誕生日祝いのホームパーティ。バンに乗り込んだ私たちは、とあるサービスエリアに駐車しました。ここで私が言われたのは、「トイレには行ってもいいけどお昼は買わなくていいよ。あるから」でした。え?と思ってしばらく待っていると、大きな袋をサンタのように抱えた二人。開けてみると、二袋まるまる、賞味期限切れの食べ物たち。

これどうしたの?と今日の収穫をしてきたアダムに聞いてみると、「廃棄食材用のゴミ箱から拾ってきた。ここのエリアのには詳しいから」とあっけらかんとした答え。

サンドイッチやパックのエビ、野菜にお菓子など、それはそれはたくさんの食べ物を手に入れた私たちは嬉々として食べました。私はゴミ箱からとってきた!?ということに一瞬ギョッとしましたが、食べていると不思議と感じたのは爽快感。ちょっと悪いことしてるけど、捨てられてしまったお肉や野菜を無駄にしてない!!という。結局パーティでもこのゴミ達が大活躍し、みんなで美味しくいただきました。

ゴミを盗んでも、違法にはならない

聞けば、一緒にいたフランス人形のようなかわいい女の子も、「私がロンドンに住んでたときもほとんど食べ物は買わなかったよ。いつもスーパーのゴミ箱から拾って食べてた。だってもったいないもの。普段はベジタリアンだけど、捨てられたお肉は食べるの。これは私が食べないといけない、という気がして」と。Embercombeには他にも何人かやったことがある人がいて、一般的ではないものの超特殊ということもない様子。(※ただし、Embercombeの人は多分一般的なイギリス人ではない)

 

そうか、これはカルチャーなのか、そうなんだな!と思った私は今アダムに色々と聞いてみました。 

彼曰く、「普段は肉は買わない。高いし、バカみたいな生産〜流通形態にお金を落としたくないから。大学にいた頃に始めて、当時は毎日のようにやってたよ。法律?曖昧なところで、違法にはならない。訴えた人もいるらしいけど、結局ゴミをとられても文句は言えない、って判決が出た。結局これやって誰も逮捕された人なんかいないんだ。人の所有地に入るのは良くないけど、出ていけって言われて出て行けばそれも違法にならない」とのこと。

おおお!と感動した私。今でもたまにやるの?次やるときは是非連れてって!とお願いし、それが冒頭の通り実現しました。

家族よ!すまぬ!こんなことしてる娘を妻を許して〜!と思いつつ、そろそろと夜の街へ。終業時間後のスーパーの屋外にある、大きなゴミ箱。まだきれいな野菜や食べ物などを見ていると少し悲しくなりました。アダム曰く、今日はあまりたくさんとは言えない収穫量だったようですが、それでもリュックにたくさん詰め込むくらいありました。

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暗闇の中、呼び止められる私たち

少しの高揚感を覚えつつ車に向かっていたところ、「おい!」と言われ、心拍数急上昇!そこに現れたのは警察…!ではなく男女二人組。

男「おい、さっきお前らがスーパーに入ってくの見たぞ。でもあんまりなかったろ?今日は俺たちがちょうどお前らの前に行ったからな。でもちょっと取りすぎたのもあるんだ、よかったら交換しないか?」

うわ。。なんて偶然。。でもやっぱり普通にこちらの一部の人のカルチャーみたいです。この二人も、よほどほしいものがない限り食材は買ったりしないそう。このエリアにいくつか行きつけがあって、たまに出没しているということでした。この行為、'Skipping'と言い、こういう生活をしている人はこの国には一定数いるようですが、別に彼らは貧乏でお金がないからこれをしているわけではありません。

やってみて、違法ではないと言いつつも、自らのイデオロギーや怒りをこうも強く持ち、それに対するアクションを貫く彼らのエネルギーは、日本人の私にはなかなか真似できないことだなと感じます。なぜこうなるのか、ここまでするのか、それは今の私にはわかりませんが、ひとつ思うのは、やっぱり圧倒的に彼らは日本人に比べてヒマなんじゃないかということです。ヒマというと失礼すぎるけれど、すべてに余裕があるような。

 

結局アダムと男は情報交換(&電話番号交換。今後いいものがあったら連絡し合うことになったらしい)し、私たちは興奮冷めやらぬうちにEmbercombeに戻りました。

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各国ではどのように捉えられているか

デンマークには賞味期限切れや傷物食材を専門販売するスーパー「We Food」があったり、フランスでは食材廃棄を禁ずる法律ができ、寄付や家畜肥料にしなければいけないということになっているようです。これに比べればイギリスは遅れているかもしれませんが、人々の意識という意味では日本よりも関心が高いのではないかと思います。

日本の場合はというと、上記のリンクにもあるように草の根レベルの活動はあるようですが、まだまだみたいです。年間1900万トンもの食材が捨てられ、私もこれを機に日本ではどうなっているのかと気になって調べてみたしたが、ホームレスに漁られないようにと踏み潰して捨てたりしているみたいです。

浮浪者がお店の周りにやってきたらあまりいい気分はしないだろうなというのはわかりますが、もし自分が店員だったら、そうやって食べ物を踏み潰していくうちに、それがどこから来ているのかにますます頭を働かせることができなくなるような、命をいただいている感覚などますます希薄になる気がするなどと、ゴミの朝食を久々のお肉だ!と味わいながら考える私でした。

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