生米プロジェクト

会社退職→結婚→夫は日本に置いてヨーロッパに8ヶ月→夫と東京生活→2人でイギリスに引越し

プラハにおける子どもへの音楽教育

プラハはとてもいい街で、私も休みの日はちょこちょこ出かけています。中でも音楽の街ということでクラシックのコンサートは日本よりはるかに安い値段で聴けるので、気に入っています。

先日はチェロのコンサートがあるということでチェコフィルハーモニーの拠点ともなっているルドルフィヌム(音楽公会堂)に行ってきたのですが、なんだか様子が変。あれ、、親子連れ多くない?!と思っていたのですが、案の定、「これはコンサートではない、ワークショップだ」と言われてしまいました。

そんなこんなで、コンサートが聴けないことになって残念な気分になっていたのですが、せっかくなので親子に混じってそのまま参加してきました。トラブルから始まった今回のワークショップですが、意外と気づきが多かったので書いておきます。

子どもがいたら、音楽と親しんでくれたらいいなと思う人は多いと思います。でも、多くの大人にとって、クラシックや弦楽器は敷居が高いものではないでしょうか。 ここ音楽の街プラハでは、子どもの頃からそうした芸術に触れる機会が多くあるようで、またそのため子どもが退屈しないようなプログラム構成の工夫も感じられました。

1. 子供の注意を引く

まず、チェロ奏者の4人組の登場。誰もが知って胃るクラシックの曲を、挨拶がわりにメロディー部分だけ何曲か弾いてくれました。

ちなみに彼らは'Prague Cello Quartet'という4人組で、2016年は日本でコンサートもやっていたみたいです。クラシック出身で、チェロの腕は折り紙つき。コンクール受賞者などもいるようです。

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2. 少人数のグループになる

この日、子どもが30人ぐらいいたでしょうか。全部チェコ語でやってたので雰囲気しかわからないのですが、多分名前のアルファベット順によって3組に分けられ、うち2組はどこかに行きました。私は何が起こっているのか最初わからなかったので、とりあえずその場に残りましたが、後で、グループ分けされて順番に3種類のワークショップを廻っていくのだとわかりました。

3-1. チェロの音に触れる

さて、私はまずチェロ奏者らによるワークショップの班になりました。ここで彼らはチェロがどんな音を出せるのかを紹介していきます。救急車、パトカー、エンジン音…何の音ですか?と聞かれ、子どもたちも、聞いたことある音だ!と次々手を挙げて答えて行きます。

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私が小学生の頃も、学校に何かの音楽隊かバンドのようなものが来てくれた覚えがありますが、整列された椅子にじっと座って聞かないといけないものだった記憶があります。しかしこの時は、開始早々に子どもたちはクッションへ。そして紙とペンを渡されたと思っていると、奏者たちが優雅に演奏している間、何やら下を向いてペンを走らせています。。まるで聴いてないぞ!癒し効果狙い?と思っていたら。

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どうやらこれは、演奏を聴いて、そのイメージを絵に描いてみましょう、というものだったようです。そして子どもたちの絵を見ながら、演奏家の方たちも、「これってどういうイメージだったの?」なんてコミュニケーション。「あ、これはきっとこういう感じの音の部分でしょ」なんて弾いてみせたり。楽しそうです。 

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それから、チェロを弾いているフリをして、大きな声でチェロのように歌います。「お父さん、お母さんもみんなやってくださいね!!」と言われたのか、大人も一緒に「ヒィイィイイイイーーーー」と、チェロになりきっていました。ちなみに奥のブロンドの女性が司会の方だったのですが、多分歌か何かされてるんじゃないかと思います。びっくりするぐらいいい声でチェロになりきっていました。

3-2. 工房を訪れて職人の話を聞く

チェロと親しんだ私たちが次に向かったのはコンサートホール内の地下でした。控え室らしきところやカフェ?があったり、こんな場所があったのかー、とちょっと新鮮でした。そして扉の奥に通されたのは、気難しそうなおじさんと楽器の数々!

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ちょっとここはあまり何を言っていたのかわからないのですが、これはコントラバスだよー、とか、楽器の修理についてとか、楽器の話などなどをしていたように思います。こんなところに入れるなんて、とってもいい経験だなと思います。チェコ語がわかればよかったのに!!

3-3. 模型を作ってチェロの音の鳴る仕組みを学ぶ

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そしてこちらは楽器の仕組みを学ぶワークショップ。穴の開いたプラスチックカップが用意されていて、そこに紐を通し、紐を振動させて、弦楽器が鳴る仕組みを伝えています。こんな簡単にできるのか、なるほどなるほど〜。

4. 模型を使ってチェロと共演し、演奏に改めて親しむ

そして最後にまた全員集合。作った楽器と一緒に演奏しましょう!と、みんな舞台に上がります。美しいチェロの演奏、そして司会のお姉さんの、ハイ!という掛け声とともに、ギーコギコ〜♪とコップチェロをやるのは、音としては無茶苦茶なのですが、子供も大人もとっても楽しそう。

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会の最後には、ジェームズボンドのあの曲を通して弾いてくれました。HPに動画が載っていました。かっこいいです。この日の一連のプログラムを経て、子供達も皆、座って聞いていました。

youtu.be

こうやって、導入から始まって、音の楽しさに触れて、メンテナンスや理論っぽいことも職人から話を聞いて、音の仕組みを勉強して、実際にチェロと合わせて自分でも弾いてみて、そして最後にホンモノを知る…

こんな経験したら、きっと自分もあんな風に弾けるようになりたい!とか、楽器っておもしろいな!と思うようになることでしょう。これでチェロを学んだとは言えないかもしれませんが、楽しかった経験はきっと心に残って、それが次のやってみようにつながるのだと思います。日本でもこういうのがもっと身近にあるといいのにな、こういう場作りがしたいなと思います。

※ちなみに予約ページには親子向けとか子ども向けとか書いてませんでした。。なぜだ、、他にも間違えてきていた人もいたので、紛らわしい書き方ではあったと思いますが、学びがあったので、よしとしましょう!