デンマークの授業風景
黒板の前の先生。インノケンティウスサンセイ、ジョヴァンニ・ボッカッチョ…呪文のように唱えられる遠い昔々のどこかの国の登場人物たち。爆睡、内職、妄想、飲食、授業妨害…古今東西、授業中に集中力を失ったことがないと言う人の方が、少ないのではないでしょうか。今回は、デンマークの授業風景について書きます。
気楽な雰囲気、実社会での活躍を考えたカリキュラム
しかし私のいたEfterskoleでも、見学に行った小学校や高校でも、日本人が一度は経験したことがあるような一方通行な講義風景はほとんど見かけませんでした。5分程度の説明があった後に問題を解かせて先生が理解度を確認して周ったり、Q&A形式、プレゼンという、参加型ばかりでした。私が授業にお邪魔するのも、はいどうぞ〜、という感じでした。この気軽さ、フットワークの軽さは日本ではなかなか難しいのではないでしょうか。そしてこのおかげで、私たち部外者もたくさんチャレンジさせてもらい、たくさんのことに関わらせてもらうことができました。
ある時校長先生は、「まあ、先進的と言われる教育を行ってるという自覚はあるけども、デンマークなんて人口500万人なんだから、教育実験国ってことでいいんだよ。ダメだったらやめたらいいし、いいならみんなマネしたらいいんだ」とウインクしながら言いました。
下の写真は国の統一試験の風景です。結構な姿勢ですが、足が長いのでしょうがないですね。
パソコンとの付き合い方
教科書ではなく、オンライン記事や教師の選んだプリントなどもよく使われていました。以前書いた通り、中学生以上は授業にパソコンを常に持ち込みます。しかし、パソコンし放題なので、授業中にFacebookやYouTubeを使用している子も。高校見学の際に先生から聞いた話では、「高1までは注意するけど、教師の話を聞かずに授業から学ばないのは自分の責任だよ」と伝えるそうです。パソコンを取り上げよ!という意見もあるかもしれませんが、よく考えてみれば昔でも授業中に絵を描いたり手紙交換したり携帯を見たりと、いつの世も集中しない状況はあるので、目くじら立ててもしょうがないのかもしれません。
基本的には、こちらで最も問題とされるのは騒音などで他人の邪魔をすることで、先生によって許容基準はかなり大きく異なりますが、逆に迷惑にさえならなければ机に足を乗せていようが寝転がっていようが構わないというスタンスが多く見られました。追放の対象になるのは迷惑行為と違法行為。これをすると退学になります。
よく言えば自由ですが、厳しく見れば自己責任。その姿勢を非常によく理解することができました。私の通った地元の公立小中学校は荒れていて、いじめも授業崩壊のようなものもありました。一方で問題のある生徒の家に頻回に家庭訪問をしたり、部活に熱心な先生もいました。そんな話をしたら、日本人は大人しいんじゃなかったのか?そんなやつ退学にならないの?と同僚に言われました。
デンマーク滞在を終えて
デンマークについてはもう少し書くつもりですが、既にデンマークの学校滞在は終えてしまいました。その後数日プラハに戻り、プラハ時代の大家のエレナさんと動物たちと平和に過ごしていました。
ちなみにデンマークの学校の話をしたら、チェコの教育は日本よりゆるくてデンマークよりはピシッとした、中間ぐらいだそう。パソコン導入の話もあったようで、数年前に小学校で試験導入されたもののやはりよくないという判断が下り、今のところ使われていないようです。チェコは日本より物価も安く、日本の方が発展していると言えますが、旧共産時代の名残からか、医療・教育といった公共サービスは大変充実していると思います。
久々のプラハは緑がぐーんと多くなっていて、さらに素敵さを増していることに嬉しくなるとともに時間の流れを感じました。そして道中はバルカンに飛び、東へ東へと、ぼちぼち、でも駆け足で帰り、本日フィリピンはマニラにいます。この後セブ島での語学留学を終えたオットとパラワン島というところで半年ぶりに合流し、少しゆっくりしてきます。ついにです。