生米プロジェクト

会社退職→結婚→夫は日本に置いてヨーロッパに8ヶ月→夫と東京生活→2人でイギリスに引越し

ハイテク!デンマーク式教育

授業はパソコン必須

デンマークの学校に来て驚いたのが、教育へのIT導入度です。さすが北欧教育。期待を裏切りません。

こちらでは7年生(中1相当)から、生徒は学習にパソコンを使います。大学のように、教室にパソコンを持ち込み、メモに作文は手書きなんてほとんどなく、調べ物はGoogle

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これを聞いて、みんながみんなパソコンを持ってるとは限らないんじゃないの…?と思ったのですが、学校がまとめて購入するので1台あたりの費用が安価となるため、パソコンを購入する余裕のない家庭には学校から貸与も可能なので大丈夫とのこと。とはいえほとんどの生徒が自分のものを使用しているそうです。低学年の教室にも、電子黒板はあります。

教科書も宿題もオンラインで

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各学校にはそれぞれイントラのWEBページがあり、宿題もここで確認&提出。保護者連絡もここ。7年生以上は教科書もない科目ばかりで、代わりにオンラインサイトやWEB記事で学習したりします。社会科WEBサイトの一例↓

www.clioonline.dk

PTAコミュニケーションもオンラインで

保育園見学をした施設では、子を預ける親は、Check-in/outを登園時に記録していました。退園時には当日の昼寝時間や食事状況も確認できます。

学校のイベントや時間割などは、校内の電子掲示板に表示されます。

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体育のテストもスマホ&パソコン大活躍

体育の授業でも、今日はテストの準備の日だからつまらないかも、と言われて見たものは、スマホやPC片手に集まる生徒たち。試験内容は、あるテーマについてグループでダンスや球技で表現をするもので、生徒はYouTubeで動画検索などをしながら、どんな内容にするか話し合っていました。50m走やハンドボール投げのような、身体能力測定試験は4年ほど前にやめたそうです。

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特に着替える意味も体育館でやる意味もないかとは思いますが。。こんなものを見ていると、持久走や50m走や倒立前転のテストはなんだったんだ、、と思えます。いい学校へ行くために体育の実技にも励む日本人学生に泣けてきます。。(この点については、同僚のドイツ人やイタリア人にもおかしいよと言われました。体育実技が高校進学に関わるって、スポーツ校へ行くわけでもないのに?と言われました。)

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試験?Facebookでもなんでも使ってOK!

さて、今週は9, 10年生の統一試験。試験監督として参加しましたが、チャット等のコミュニケーション以外のネット接続は全てOK。ググろうがFacebookに繋ごうが、どうぞご自由に、です。

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今日のデンマーク語のテスト開始早々にも、わからない単語はオンライン辞書で調べまくる生徒たち。これは、文章を読んでその意味に相応しい単語を選ぶという選択問題だったようです。それって、デンマーク語能力の試験じゃなくて、いかにパソコンをきちんと使いこなせるかじゃないの、、???!と思えます。

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ちなみに3時間半の長丁場ではありますが、試験中は音楽を聴き、ブランケットにくるまりと、皆とってもリラックス状態。ちなみにこれは試験官の私たちも同様で、先生たちも生徒に微笑みかけたりお菓子を食べたり絵を描いたり新聞読んだりパソコンで仕事したり、、、、と、なんでもありでした。

 

ちなみに食事をしていいのは生徒も同様で、途中パンや果物、クッキー、人参といった食べ物も配りました。もちろん持ち込みも可能で、音を立てなければなんでもいいそうです。

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試験会場は体育館に椅子と机を設置した特設会場でしたが、下の写真の彼女は家族写真に電飾に、、と、超アットホーム空間を作り上げていました。

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試験とはどうあるべきか?知識は必要ないものか?

私が中学生の時のテストでは鉛筆消しゴムぐらいしか持ち込みできなかったと思いますが、そんな風に飲み食いできなくて好きなものに囲まれることもできず、気温にも自由に対応させてもらえないだなんて、人生ではテストか刑務所か病気かくらいなものでしょう。わからない時にパソコンやスマホに手が伸ばせない環境もそんなにないと思います。そう考えると、テストを嫌なものにしない、日常に近づける、現実世界をより良く生きていくための力を測る場とするーそういう意味でのインターネットを使った教育というデンマークでの試みは、大変興味深いです。

とはいえ、知識は何かを考えるときの基礎となり、とっさの会話にも必要とされるものだとも思います。暗記重視教育で育った日本人として、こうも正反対なものを見ると、正直賞賛だけでなく疑問もわんさか浮かびます…( ꒪⌓꒪)

夫、妻に乗せられるがまま、海外就職

私が「えーい!日本を出る!」と言ったところ、仕事落ち着いたら一緒に行く!との提案により結婚。その後、同居もままならぬまま日本に置いていかれた我が夫。半年前に、Facebookで夫の職探しのお願いをしましたが、おかげさまで先日転職先が決まりました。

しばらく先になりますが、年内には二人でイギリスに住む予定です。場所はロンドン、、ではなくブリストル。欧米人の友人からは「クールじゃん、いいとこだよ!」と軒並み好反応で、様々な活動家や団体が存在するようですが、一体何があるのやらです。

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しかし、英語に不安のある夫の先日のTOEICは670点。今後の身を案じ、昨日から1ヶ月間フィリピンのスパルタ語学学校に行っています。。元々ドメスティックなパソコン将棋オタクだった彼は、これまでのところ私に振り回されるままにたくさんのことにチャレンジしてくれています。しかし、未知の世界に対し、ヒー!となってソワソワしてます。特にまず今後のフィリピン生活を心配中。

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夫目線では、こんな感じの状況。
・業務多忙の中、海外就職向け転職活動&英語学習した
・のんびりしたい有給消化を、超スパルタ学校で1日10時間勉強
・心配性なのに、途上国で初めて1ヶ月過ごす
・怖がりなのに、ついでにダイビングの免許も一人で取らされる

 

でも、到着早々ダイビングのライセンスを週末に無事取得し、換金所でボラれかけたり様々あるようですが、英語もなんとか伝わっているようで、ほのかな自信を感じます。3月頃から仕事の合間を塗って毎日オンライン英会話のRarejobを予習も含め毎日こなしていただけあります!

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1ヶ月後の夫の進化に期待しつつ、またひとつ物事が進んでいくなーと思っています。常日頃超努力家で、成長力がすごいです。「俺は、成長しかしない!」と真面目な顔で言ってくれますが、まさにその通り、有言実行の男です。応援し続けたら、いつかウルトラマンぐらいになる日が来るかもしれません。がんばれ〜

 

というわけで、私もこれに合わせ、6/2に帰国することにしました。半年ほど日本にいる予定です。この微妙な期間、何をしようかか考え中です。今の会社もとってもいい会社なのに、本当に退職して、さらにチャレンジしようとしている姿を見ていると、尊敬です。以前の夫は上司の方にもとてもよくしてもらっていたようで、結婚パーティにも来てもらったにも関わらず退職ということになってしまったので、私も頑張らないとです。面白そうなことがあれば教えてください!

Efterskoleでの授業と学校の仕組み

現在滞在しているデンマークの9年生、10年生(中3〜高校入学前)を対象としたの生徒のための私立学校、Eftereskoleですが、時間割は、1日に90分×4の授業(金曜は3つ)があり、2学年の生徒が同じ教室で学びます。ただし、国語・英語・ドイツ語・数学・物理はレベル別授業です。

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10年生は通常教育を普通学校で終えているため、Efterskoleでの1年は9年生に比べ履修科目の自由度も高いです。例えば卒業後その科目が必要ないため、ドイツ語や物理を履修しない代わりに、Kursusfagという、自由科目のようなものに出席している10年生も多くいます。

10年生をEfterskoleで過ごす生徒たちは、当然Efterskoleに行かない同級生に比べ、高校進学が1年遅れることになりますが、特に誰もそれは気にしていない様子。Efterskoleに進学すると、寮生活や様々な授業を経て、人間関係に自信を持ち、自分のやりたいことがより明確になり、自分のことを人にうまく伝えられるようになり、心身ともに成長するようです。

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特徴的なのが、火曜(TIRS)15:00~と水曜(ONS)13:00~の午後の授業で、この時間は全生徒が音楽や写真、バドミントン、フードラボ、女子活動?、男子活動?、探索?といった、自らの興味に合わせた授業に出席します。生徒たちは1年を通してこの1つのクラスに出席し、年度の途中でこのクラス単位で世界各地に3週間ほど出かけます。例えば探索?の授業だと、アフリカに出かけて現地生徒と一緒に授業を受けたり、フードラボではシチリアで料理について学んだりします。実地体験、のようなものでしょうか。

各授業毎に30分の休憩があり、食事は1日6回!楽しそうな授業が多いですが、寮生活であり、平日毎朝7時の散歩から18:00までは拘束されるため、トータルで学校で過ごす時間は長いです。

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先日は写真の授業で豚牧場に行くよ!と言われ青空の下の可愛い豚たちを想像していたのですが、食育的要素を兼ねていて、生徒ばりに学んだ私でした...猫も人も入り放題だったのはびっくり。とはいえ、特に押し付けがましく「みんなの食べ物はどこから来てるのか学びなさい〜」といったような話はなく、淡々と豚の様子を見ながら写真を撮っていました。先生に聞くと、みんなこういう現実は理解してるからね、とのこと。もっと早い段階で食育教育がなされているのかもしれません。

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こうした授業はこのEfterskoleのウリであり、写真を学びたい、アフリカに行きたいといった理由でこの学校を選択する生徒も多いです。他のEfterskoleでは、例えばスポーツや音楽に特化したりと、設備や授業、方針も様々。

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私立なので費用がかかりますが、国の補助もあり、世帯年収による6段階のレンジに基づき、530万以下では65万、1440万以上では105万程度を支払います。これは一部費用を除く寮費・食費・授業料を含むので、かなり安いと言えるのではないでしょうか。それでも経済的に厳しい家庭には、特例的補助もあります。

 

このため、決して全生徒が行けるものではありませんが、Efterskoleはデンマーク国民にとって身近なものであり、またこの国の国民性や文化を形作るものの一つなのでしょう。

デンマークの全寮制学校、EfterskoleでのWorkaway

今、デンマークの「Efterskole」という、日本の中3〜高1にあたる15~17歳の生徒が通う全寮制の私立学校でお手伝いしています。この国の生徒の20〜30%が進学し、中3の1年間か、中学卒業後、高校入学前に通うそうです。

普通の授業もありますが、スポーツや写真、職業研修などもあり、各学校毎に重視するテーマがあります。今いる学校のテーマは、「多様性を認める」と「骨太な人間になる」というもののよう。

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生徒は125名、教職員40名、大多数がデンマーク人で、授業はデンマーク語で行われます。

これは、先生絵のの写真。ここの学校では「Family System」というのを採用していて、2人の先生が8人ずつの生徒の担当になっていて、そのFamilyの中でお父さん、お母さんと呼ばれて、いつも同じテーブルで食事しています。また、各先生たちは寮も分担して担当しています。写真を撮ってもいいかと聞くと、先生は「いいけど…あの子たち、いつまで経っても髪描いてくんないんだから!恥ずかしい!」と言いつつも、とっても慕われているのが伝わってきました。

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今は、私と同じような形でイタリア人、シンガポール人、ドイツ人、ブラジル人と一緒にWork Exchange滞在しています。ここでは食事と住居の代わりに、週2回午前中のキッチン補助は求められますが、それ以外は全くの自由。好きな授業に参加して指導したり一緒に勉強したり、授業後や週末に生徒と触れ合うことを期待されるものの、強制ではありません。

授業に参加したいときは先生に一声かけるだけで、大体の場合はいどうぞ〜と言ってくれます。

生徒の生活も同じく自由で、今は5月に進学に関係する国の統一試験を控えていますが、ハイキングに出かけたり、イベントを開催したりととても楽しそう。全くと言っていいほど知識重視ではなく、宿題タイムも毎日1時間だけありますが、それだけです。

こちらの写真は先日料理対決イベントで生徒たちが作ったもの。審査員をさせてもらいました。

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知識偏重教育育ちの、お堅いイタリア人の同僚は「こんなのありえない!生徒がキッチン担当で1週間授業に出ない!?先生を名前で読んで、テーブルに足を投げ出して!ドイツ語は活用も覚えてないし授業も適当すぎる!!学びに知識なしで何ができるって言うんだ!!」と理解不能で常にぼやいています。

噂に違わぬ北欧教育、想像以上で日々びっくり。

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かと思えばある日、先生から聞いたこと。

「この教育が緩いと思われることもわかってる。生徒に強制しないことも、授業で彼らが暗記をしないことも。でも例えば今囲んでいるこの焚き火は、本来ここでやるべきでないの。私は最初ダメと言ったけど、生徒たちはやりたいと言った。そこから芝生を傷つけるからとか、ここは本来炭が残っちゃいけないとか、そういう理由を説明したら、彼らは芝生に傷をつけない方法を考えて、終わったら片付けると約束した。だから許可したの。とっても時間がかかるけど、生徒と話をして、考えさせて、信用する。これが私たちの考える教育なの」と。

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知識、マナー、忍耐、努力?北欧の教育は最近日本でも話題で私も興味があり、どう言うものか記事を読んだりしたこともありますが、実際目にすると、日本的教育を受けた私にはかなり極端に映ります。デンマークの普通教育よりもさらに先進的なものだと思います。それでも今見た限りでは、私たちとはまるで違う人間になりそうなほどの教育アプローチの違いと、それをやってのけるこの国の豊かさと寛容さ、そして覚悟のようなものを感じます。

考えるべき点が多々あり、これを観察するための自分の知識とものさしが全然足りない気がしています。理解を深めるためにも、また気づいた点や疑問点があれば教えてください。

プラハ生活総括

昨日、プラハから1日かけて移動して、デンマークにやってきました。1月からのまさに「行く」、「逃げる」、「去る」ような3月までの3ヶ月間の滞在も終わりました。プラハはなんだかんだ、街はとっても好きでした。この滞在でよかったことベスト3は下記の通りです。

①大家のエレナさんと犬猫との時間

プラハで映画の撮影に参加した

③いろんな形でアートに触れた

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①大家のエレナさんと犬猫との時間

普段の家でのお茶や食事に外出等、たくさん一緒にいさせてもらいました。お姉さんのようで、話は尽きず、でもいい距離感もあり心地よく、また素敵な生き方に触れました。あと、猫好きの気持ちが抑えられなくなり、落ち着いたら絶対に猫を飼うという決意を新たにしました。

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プラハで映画の撮影に参加した

アメリカ映画にて銀幕デビューを飾ることになりました。一部日本が舞台の映画ですが、日本人の超有名俳優さんもいて、ただの背景役エキストラなのに髪も衣装もかなり本格的でいい経験になりました。ただ、突っ込みどころ満載で、どんな映画になるのか楽しみです。

 

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③いろんな形でアートに触れた

ざっくりで、しかも時間もかけた割にこれが3番目かと言われそうですが、印象ってのはどぎつい順に残ると思うので、良しとします。最近海外にいても新鮮味に欠けていたのですが、今回美大卒の方々と共に改めてヨーロッパを見て、また違ったおもしろさや素敵さを発見できました。 f:id:hikapoo:20170405182015j:plain

 

プラハが終わってその次は…

今はデンマークの田舎のHirtshalsというところにいます。日本で言うと網走くらいな感覚の町かもしれません。こちらの全寮制の学校で1〜2ヶ月お手伝いする予定ですが、とてもおもしろそうです。。同じ写真をFacebookに投稿したら、友人に「陸路ってチョイスがあなたらしいわ」、と言われました。飛行機も検討しましたが乗り継ぎがあるのとあまり安くなかったので、夜行バスと電車という相変わらずな感じの旅程でしたが、元気で何よりということで。。f:id:hikapoo:20170405221742j:plain

アトリエインターン振り返り

3月22日、でプラハでのインターンが終わりました。仕事の話は心情的に書きづらかったのですが、良くも悪くもいろいろありました。これまでアート業界とはほとんど接点がなかったのですが、今回2ヶ月ほどプラハでアーティストの方やインンターンの方などの話を聞いていく中で、いろいろ発見がありました。

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1. スポンサーGET業務
アーティストに対し、企業スポンサーを依頼し契約締結する作業。2ヶ月半で、チェコの会社1社だけだったのを、日本の会社に依頼して、全部で6社になりました。インターン期間が終わるので後任に引き継ぎましたが、あとプラス3社、合意のところまでやってきました。

自分で言うのもなんですが、なかなかいい仕事したんじゃないかなーと思います。ただ、この結果についてはアーティスト実績と提案内容も理由でしょうが、他の人がやってないことをやる&ハードルが低いことは大事だということなんだろうなと思いました。中小企業からしたら、多少の資金的余裕はあってもCSRやPRまでなかなか頭が回らない中、このような提案をされたらまあやってみてもいいかなと思うのかもしれません。

大変でしたがいい経験になりました。

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メーカー名は控えますが、私がいる間にとある有名メーカーさんから届いたテーブルいっぱいのスポンサー製品。ちょっと嬉しい気分になりますね。私も記念にひとついただきました。

 

2. 制作業務
最初は上記のPCカリカリ作業が多かったのですが、せっかくアトリエに来たし、というわけで制作もしていました。PC作業も制作も地味な作業の積み重ねですが、実際手を動かすのは楽しかったです。

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3. 雑感
今回の滞在を通じて、好きなことをしながら生活を成り立たせる方法をまた学んだように思います。

まず、アーティストと言ってもお金がないのは日本でも海外でも同じではないかと思います。実際に、今私がいたところのアーティストの方も、とってもビンボーでした。それでも、ヨーロッパで活躍するアーティストなんてすごいんじゃないの?と思うかもしれませんが、芸術的才能も多少は必要ですが、続けて行くためにはそれ以上にいろんな工夫が必要なんだろうなと思います。決して綺麗事ばかりではないし、私が同じようにしたいかと言われればそうも言えませんが、その工夫を垣間見れたのが良かったです。

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今回はプラハにいるにもかかわらず同僚も芸術家さんも全員日本人という環境だったのですが、日本人only集団でいるのは組織上ほんとによくないのかもと思ったりもしました。日本人って真面目でトラブルもできる限り避けようとする人種だと思いますが、やっぱり話し合いなどはうまくないからか、海外にいても日本でありがちなような問題が多々発生しました。UKからのチェコ暮らしだったので、物事の進め方や会話の中身がかなり違うなということを日々感じました。日本人が悪いというわけではないのですが。

あとは、今回自営業のような芸術家さんと働く中で、人の上に立つのは大変、と改めて思いました。と同時に、生意気にも自分の方がうまくできるんじゃないかとか、そんなことは恐れ多くて1人でいる方がいいのかなとか、そんなことを考えていました。私は父がわがままで世間知らずの自営業だったので、そうなるまいと会社に入って一応は世間常識に触れて来たと思いますが、年齢的なものなのか、性格なのか、そろそろマネジメントするような機会も欲しいなーという今日この頃です。

音楽の都の民を怒らせた指揮者はどうなるか

先日、今回のプラハ滞在で最後のオーケストラのコンサートに行きました。公開リハなので、500円程ですが、ほぼ全曲通しで聴けます。これぞプラハのリハーサル公演。なんと素晴らしい!

 

※Final Rehearsal、と書いてあるものがこれにあたります。

http://www.ceskafilharmonie.cz/en/concerts/whats-on/

 

ところが1ヶ月前に初めて行ったときは、この文化を知らなかった私、だけでなくリハ用指揮者見習い(?)の若きイケメンスウェーデン人。この後、私はとんでもないものを目にすることに。。

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平日の朝からだったので、ウキウキしたご老人がたくさん。しかし始まるやいなや、指揮者は演奏を中断し、ここはこう、などと次々注文してはまた曲の途中から始め、止めての繰り返し。これに対し、ざわつき始めた会場、開始40分。
ついに1人のおっさんが立ち上がりました。
おっさん「なんで曲を全部演奏せんのや!!」
指揮者「…(無視)」
しばらくして。
 
おっさん「お前な、試験じゃないんやから、観客おんねんからちゃんと聴かせろや!」
老人ら「ブーーーーーーーーーーーー!ブーーーーーーー!」
指揮者「…(無視)」
関係者「これはリハですから、皆さん、ええ、まあまあ」
コンマス「皆さん落ち着いて。もう少し長めに演奏しますから」
 
なかなかの根性でぶつ切り演奏を続ける指揮者。
老人ら「ブーーーーーブーーーーーー!ブーーーーーーー!」
ダンダンダンダン!!!!!!!!!!!と演奏&指示中なのに集団足踏み。
 
たまりかねた指揮者。
指揮者「えー、皆さん、これはリハです。本番のための場なんです(英語)」
老人ら「チェコ語しゃべれやーーーーーーーーーーーーブーーーーーーー!!!」
ダンダンダンダン!!!!!!!!!!!超お行儀悪い民たち。
 
このカオスのまま休憩に入り、帰る人ちらほら。私ハラハラ。しかし、休憩の間に助言されたのか、後半はほぼ通して演奏され、平和に終わりました。
 
状況を通訳してくれたアメリカ人のおばちゃんに
「あんた、今日はいいもの見たわね!」とウインクされました。
 
そんなこんなから、1ヶ月経ったこの日。聴かせるリハ。苦い経験を乗り越えた彼の広く薄い背中を再び見ながら、私のプラハ生活の終わりにも思いを馳せるのでした。

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