生米プロジェクト

会社退職→結婚→夫は日本に置いてヨーロッパに8ヶ月→夫と東京生活→2人でイギリスに引越し

年末年始、夫が新婚旅行に来てくれた?

あけましておめでとうございます、とはもう言えないのですね。2016年12月17日にEmbercombe生活を終えた後は、数日ロンドンの友人宅にお世話になっていました。ちょっと変なタイトルですが、その後日本から夫を迎え、そのまま2週間ほどヨーロッパを現地集合・現地解散の新婚旅行をしていました。

ちなみに「新婚旅行 現地集合」でググるとほとんどヒットしませんでした。当たり前か。芸能人のキンタロー。さんもそうみたいなので、ないわけではないですが。

テーマ:ヨーロッパの大都市を巡る

今回は、①私と合流する、②今後の仕事、進学なども視野に入れ、今後の住みたい街候補を見て回る、③帰国便の発着…といった理由から、

ロンドン→アムステルダムアントワープ→パリ→ベルリン→ミラノというルートで旅しました。アントワープは特に定住候補ではなかったのですが、アムステルダムからパリの途中にあるからルーベンスの絵を見に行って見たかったし、中規模の街の感覚を得ておくのもいいかと思ったためです。

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初めてヨーロッパを訪れたインドア&ドメスティックなエンジニア夫を観察して

3ヶ月ぶりに会う夫、初ヨーロッパの夫、忙しい中よく遠いところまで来てくれたなあと思います。お互い頑固なので、道中小さなケンカもありましたが、たくさんいろんな話ができたのでよかったです。

2週間、つまり半月も新婚旅行するって結構長いと思うのですが、一緒にいて面白い発見・変化がありました。

一人でご飯の注文をしてくれるようになった

ここで私が全部自分でやってしまっては、いつまでも自分でできなくなる!!と思って、私はなるべくノータッチで全部やってもらいました。元々飲み食い大好きな夫。一人で何やらつぶやいては、「俺、メニューの頼み方わかってきたぞ…」と言っていました。これでまた一人でも何処へでも美味しいものを食べに行けることでしょう。。 

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モノの買い方、店員さんらとの会話法を会得した

今回は夫も忙しかったので、私がフライト・宿の予約や大まかな観光の下調べをしました。その代わりに、道中の食事や観光にかかる支払いはほとんど全部夫にしてもらいました。おかげで‘Can I (you)~?’や、‘I want to~.’といった英語の使い方がわかってきたそうです。好奇心がとても強い夫、自販機などを見つけては「使ってみたい!!」、ATMを見つけては、「キャッシングしてみたい!!」と次々試していました。

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ヒゲを伸ばした

夫は超日本人ぽく、かつ童顔でナメられそうだと思ったので、海外あるあるですが、冗談半分でヒゲ伸ばしてみたら?と提案してみました。最初猛烈に抵抗を示されましたが、無理やり理由をつけてオススメしたら結局気に入ってくれたようです。なかなか似合うと思うのですが。

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写真は夫ではなく、アムステルダムのおいしいオムライス屋さんのお兄さんです。夫にはこういう遊び心溢れるヒゲはまだ抵抗あるみたいです。 

怪しいヤツの避け方を覚えた

私が売り子だったとしても、真っ先に狙いたくなる、いい人オーラ満載の夫。案の定イタリアでは、黒人にミサンガを巻き付けられていました。(事なきを得ましたが)

街中にはちょっとやんちゃそうな少年集団やフラフラしたおっさんがいることもありましたが、「怖い顔して歩いとく」と、ここは注意しないといけない雰囲気を感じていたようです。怖い顔しなくてもいいと思うけど。 

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観光や町歩きに際し、便利なスマホアプリ機能を存分に駆使していた 

おお、さすがIT業界人!と思ったのですが、wifiがなくてもサクサク観光できるよう、いろんな試行錯誤を重ね、Trip Advisorもオフラインで使えるようにダウンロードしたり、

www.compathy.net

Google Mapもオフラインで使えるようにしていました。

www.compathy.net

私はこれまで海外にはたくさん行っていたものの、こういうところには全然頭を働かせていなかったので、目からウロコ。迷ったらちょっと歩いて、困ったら誰かに聞けばええわ、で済ませていたので大違いだなと思いました。

各地の街中にあるアプリ広告の写真を撮っていた

職業柄でしょうか。各国で使われている、宣伝されているアプリやWEBサービスを見つけるたび、写真に収めていました。仕事でも趣味でもいいのですが、これが好き!これが知りたい!これを集めてる!というどこに行っても同じ、テーマのようなものが私にもあったらもっと楽しいだろうな、とうらやましく思います。

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ちなみにこの写真のdeliverooと並んでubereatsなど、宅配料理系のサービスはいろんなところで盛んみたいです。街中でもよく宅配のお兄さんを見かけました。

あとは日本食の写真も撮りまくっていましたね。食への興味がありすぎる!!

 

夫は現地解散で帰国、私は次の街へ

今回3ヶ月ぶりに夫に会って、うれしいというのもありましたが、私たちの当初の計画も3分の1〜半分ほどが過ぎたんだなとしみじみしました。

やっぱり、結婚後妻が即海外逃亡、夫も退職して追いかける!だなんて、誰に言っても「うわぁ〜、ビッグプロジェクトだね」と言われます。いくら論理的に道筋が見えていたとしても、私たち自身にも未知であり、いろいろなハードルや脆さもあります。

途中道草・寄り道・経路変更はあるかもしれませんが、きちんと向き合って、ひとつひとつ進んでいたらこうありたいというところにたどり着けていた、というようであれたらいいなと思います。

そんなこんなで、10日ほど前に次の生活拠点のプラハにやってきました。またちょこちょこ書いていきます。

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Embercombeからの下山 -To the Real World-

まだまだ、たくさん書きたいことがあるのですが、12月17日土曜日、ついにEmbercombeとコミュニティの人々に別れを告げてきました。日々、喜怒哀楽様々な感情と向き合っていました。たくさん学び、たくさんの気づきがあり、本当に来てよかったと、ただただ思います。

この年末は、ほとんどのボランティアがその滞在期間を終え、Embercombeを去ることとなり、Feast(お別れ会みたいなもの)の2週間ほど前から、終わりムードが漂い、みんなセンチメンタルになっていました。

写真は同期の8人のボランティアと。出発してしまうメンバーを送るために撮った、8人で最初で最後の写真です。(変顔とプライバシー考慮、名誉のため多少修正。)

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Embercombeで学んだこと(備忘録。また増えるかも)

  • 薪の割り方
  • 暖炉に火をつけること
  • 70人分くらいの料理を作ること
  • いろいろなパンの焼き方
  • マヨネーズの作り方
  • チーズの作り方
  • 自分の感情の伝え方、向き合い方
  • 夢を見る方法
  • 定時内でしか仕事をしない方法
  • 人のことは気にしない方法
  • 自分の意見をみんなの前で気にせず言うこと
  • 人が足りなくても必要な仕事を無理せず終わらせる方法
  • 地元イギリス人と話す英語能力(たぶん少し上達した)
  • 下手でも楽しく歌うこと
  • 気まぐれを愛すること
  • 自分はなんだかんだ面白さがないと我慢できないこと
  • Collaborative Paintingの手法
  • Authentic Relatingの手法
  • Breath Workの手法
  • Burning Questionの手法
  • Skippingの方法
  • Squattingの方法
  • キノコの見分け方
  • タトゥーだらけの人でも気にせず話すこと
  • ボディタッチやハグに慣れること
  • How are you?と言って雑談をしてから本題に入ることに慣れること
  • 瞑想の方法
  • 木製スプーンの作り方
  • 冬の泥池に飛び込んでも大丈夫な方法
  • 月の光は暗い道を照らす力があるということ
  • 先のことは心配しすぎないで良いということ
  • 自分の決断や直感はきっとそうそう間違わないということ
  • 英詩の楽しみ方
  • 英語は美しいということ(とても知的で詩的なイギリス人がいて、ツールでしかなかった英語を初めて美しいものだと思った。)

下山後

久々のロンドン、久々のお肉と、なんだか変な感じです。お肉好きですが、今は食べるとちょっと胃が重く感じてしまいます。

特に上司がいて誰かや時間や課題に追われていたわけではないのですが、なんだかとっても疲れました。きっと、自分と向き合い、そういう人がたくさんいて、エネルギーがぶつかり合う環境にいて、心が忙しかったんじゃないかなあと思います。

Embercombeに行ったからといって、それにばかり依存して劇的変化を遂げたいわけではないし、かといって全く変化がなかったり、この経験を活かさぬまま下山したら元の日本人労働者な私に戻りたくもないし、わがままな気分です。ただ、確かに何かを得た実感はあるので、今はただ、こういう今の自分を楽しみたいです。

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今はヒースロー空港のカフェでこれを書いています。もう少ししたら、夫と3ヶ月ぶりに再会です。現地集合&現地解散、途中友達の友達の家でカウチサーフィン、一部友達も一緒という形ですが、一応やっとこさ新婚旅行です。こんな形ですが、結婚後1年以内の旅行は全部新婚旅行でいいだろう、ということで、快く結婚早々イギリスのゲルなんてわけのわからないところに送り出してくれた夫には、感謝感謝感謝です。

年内はもう書かないかもしれません。皆様良いお年をお迎えください。

Embercombe: Volunteer from Feb 2017 wanted!

Volunteer application has just started! Apply now!!

Здравствуйте! Guten tag! Hello! As it seems that quite a few people access my blog from outside of Japan, although I write only in Japanese, I let you know about this information in English today. (They might be all Japanese living abroad, though.)

Embercombe is now recruiting for volunteeres to start in mid-February 2017 for 3-4 months. You can check the detail from here.

And there is also Embercombe Assistantships recruitment starting from mid-February for up to 1 year.

Closing date for applications: 10am on Tuesday 3rd January 2017.

Embercombe has given me such fantastic experiences and it's full of learning every day! I did not know anyone who has been to Embercombe and I had known little about it before I came here, but I just believed my sixth-sense and now I am here with incredible people. So if you are interested, do apply now!! 

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Mystery about frequent visitors to this blog...

Actually, I don't really know why but those who are reading my blog are not in Japan. In fact, it is most accessed from RUSSIA (40%)! It's YOU!!! But it is not even by one big fan, but some people living in several different cities in Russia. I wonder why this kind of article fascinates people in Russia.

Although this blog is written in Japanese basically, only 20% of total visitors are from Japan. It terrifies me that KGB might watch me or people from the Church of the Last Testament might be researching about the community etc... Haha.

Anyway I enjoy this wierd situation a lot, but would be very happy if you could tell me why you read this... пожалуйста!

このブログのお得意アクセス元は、なんとあのお国…

実はこのブログは夫と母と弟と会社の元同僚の人1人ぐらいにしか知らせていないブログで、生存報告も兼ねてとてもとてもとーーってもひっそりと書いているのですが、それでも世の中物好きな方はいるもので、いろいろなところから多少アクセスをいただいています。

そして非常に奇妙なことに、全て日本語で書いているにも関わらず、最もアクセスされているのは日本から、ではなくなんとロシア。4割を超えます。日本からのアクセスはちょうど2割くらいです。全部日本人ということもあるかもしれませんが、多分翻訳して読んでいる異邦人もいると思います。Embercombeの人にこの話をしてみたのですが、もちろん特にロシアでの活動などないそう。

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ロシアというのがちょっとなんとなく怖くなってしまって、もしかしてKGBにマークされてるんじゃないかとか、誇大妄想が頭を駆け巡りましたが、ロシアと言っても1人の熱心な読者だけというわけでもなく、いろいろな場所からアクセスされているということもあり、これが昨今の私の頭を悩ませる最大の謎であります。

弟には、コレの関係者じゃないかとビビらされました。↓

wired.jp

こちらが彼らのウェブサイト。Embercombeは彼らの参考にされているのでしょうか。とっても不思議でちょっと怖いのですが、夫には自分のツイッターで妻の様子を紹介したいと言われたのですが、このアクセス数ロシア1位状態を楽しみたいので、今後もひっそり書き続けてどうなるか観察しようということで今はまだひっそりしていようかなというところです。

英語で書きましたが、Embercombeのボランティア募集が始まりました。2月開始です。こんなイギリスでのゲル暮らしが気になる方、とにかくどこかへ逃亡したい方、是非ご応募ください。

Embercombeとシューマッハカレッジを比較してわかったこと

先週は以前にも書いた、シューマッハカレッジの「Becoming Indigenous」というコースの学生たちが、Embercombeの「Journey」というコースを受講するためにまたやって来ていました。3ヶ月の彼らのコースもあと残すところわずかのようで、このJourneyというプログラムは、そんな彼らが今後歩む道を探すための、総まとめのようなものです。

hikapoo.hatenablog.com

Embercombeとシューマッハカレッジは、自然との共生、パーマカルチャーというところで共通点があり、地理的に近いことからもよく交流があります。プログラムの受け入れはもちろんですが、同僚ボランティアの中にもここでボランティアしていたという人もいますし、Embercombeのボランティアをした後にシューマッハに行ったという人もいます。Embercombeに来る前に日本で日本でも有名になってきていますし、同期ボランティアのジョスも1月からシューマッハでボランティアをするから見に行くということで、私も一緒に行って来ました。

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リッチに自然と学びを深めるシューマッハ

とても綺麗なところで、Embercombeのように自然と共生しながら生活し、かつ学ぶところなんだなと思いました。こじんまりとした学校で、大学院大学ということもあるかもしれませんが、とても静かな時間が流れ、学生層も高めだからか落ち着きがあるなという印象でした。もちろん若い人もいましたが、30代〜50代くらいの人で、本当にこれが勉強したい!と思って来ているんだろうなという人が多く見られました。

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あとは、、やっぱり施設などを見ていると、Embercombeより断然お金があるなということです!!ご飯もベジタリアンで、校内で育てている野菜を使用してはいますが、たくさん買ってもいるなという感じ。おやつにはナッツとチョコチップのクッキーがあって、これは毎日らしい。ナッツとチョコチップだなんて、Emberbcombeではあり得ないことだ!ゴージャス。もちろん高い学費を払っているのであまりに粗末でも納得できないかと思うので、当然かもしれませんが、Embercombe人の私にはとってもうらやましく思えたのでした。。

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エネルギーのぶつかり合うEmbercocmbe

そんなシューマッハカレッジを見た私たちでしたが、やっぱりというかなんというか、これは行く前からなんとなくわかっていたことですが、Embercombeとシューマッハ、似ているようなこの2つの団体ですが、私が求めているのはEmbercombeなのだなということがはっきりした見学でした。

シューマッハ大学院大学ということもあり、学問を学ぶという場所であるから当然ですが、やっぱりきちんとした場所です。一方でEmbercombeはというと、子どもがたくさん来るし、未完成で発展途上でカオスです。そしてこれが私の大事にしたいものなんだろうなと思います。これはまだ自分の年齢もあるかもしれませんが、もう少し自分は強いエネルギーがあるところに惹かれます。元々自然や農業というところが私の関心ではなかったので、これはそんなに驚くべきことでもないのですが、よりはっきりと自分の好きなことがわかったのがよかったです。

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こういう話をEmbercombeにしたら、私も似たようなことを思った、と言われました。そしてその人曰く、シュタイナーの「精神(Spirit)、心(Soul)、体(Body)」という概念のうち、精神と心を重視しているのがシューマッハで、心と体を重視しているのがEmberombeだと思うわ、と言っていて、なるほどなと思いました。

またある人は、「Embercombeのいいところはそのアマチュアイズムだと思うんだよね。誰も専門家なんていなくて、すっごく何かに秀でた人もいるわけでもなくて、でもだからこそみんなが気軽に自由にいろんなことに取り組めて、自分もやってみようかな、って思ってやってみれる環境があることだと思う。」と言っていました。私もここへ来て、みんなほどではないかもしれませんが、いろんなことにチャレンジできました。下の写真はクワイアーですが、大学にいた頃はクワイアーって素敵女子だけのものな気がして、できませんでした。でもこちらではおっさんでもキーが外れていても、行きたい時だけでも全く構わなくて、みんなでただただ楽しく歌っています。

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はてさて、Embercombeを訪れていたBecoming Indigenousの人たちのプログラムの話に戻りますが、今回の夕食は彼らのコンセプトに合わせ、ルーツを辿るを意識したメニューとなりました。1日目は旧石器時代、2日目は新石器時代、3日目はローマ帝国時代、4日目は植民地時代後、5日目は未来の食事…ということでした。

この取り組み、キッチン担当だった人が面白いからということで昨年のBecoming Indigenousの人がJourneyでやってきたときに思いついてやってみたらしいのですが、これが好評を博して今年もやってくれとリクエストされたそうです。こんな風に自分のアイデアが気楽に形になると、またいろんなことをやってみたくなる、そんな気持ちになるだろうなと思います。

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今回のメニューどうしようかなあ、とキッチン担当の人がボヤいていました。そこで私は、「未来の食事はジョークと啓発を兼ねて、タブレットかグミのお菓子でもお皿に乗せて最初に出してみたら?」と言ってみたところこれが見事採用されました!

「100年後の未来、人類はすべての栄養素を含むピルの開発に成功しました。緑が健康野菜、赤がジューシービーフ、青がブルーベリーアイスクリームです。」とのメニュー説明から始まったディナーはなかなか好評でした。私もまたひとつ、アイデアを考えてやってみるって楽しい!という経験をさせてもらいました。

すごいオーガニック料理の専門家がいるわけではないけれど、こういうところがEmbercombeの魅力であり、こういうことの積み重ねが「人を育てる」なのだろうなと思いました。

 

Embercombe:同期ボランティア紹介

 9月末から始まったEmbercombeでのボランティアですが、同時期に3ヶ月のプログラムを始めた他7人のボランティアがいます。ここへ来て2ヶ月しか経っていませんが、毎日のように顔をあわせる彼らとは日々いろんなものを共有しています。

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8人の同期たち

  • シオ:46歳、男。元ナース。家族の崩壊などもあったりしてか、あまりコミュニケーションはうまくない。なんと言ったらいいか、鬱というか優しく不器用な男。皿洗いをさせたら誰も止められない。
  • ケイト:ゲルメイト。個人的には1番好き。バーで歌っていたり、アメリカやカナダで働いていた。明るく優しいお姉ちゃん。35歳だけども、小柄でいつも賑やかだからか欧米人にしては珍しく若く見える。
  • ケリー:マイペース。後日書くかもしれないけれど、このマイペースさのためにバトルに発展した(現在停戦中)。自称フォトグラファーだが、活動状況については不明。7月にEmbercombeでボランティアを始めた彼氏のベンのところにやってくる形でボランティアに参加。そのためゲルではなくベンとともにキャンピングカーに住んでいる。31歳、女。
  • ディッテ:デンマーク人、30歳、女。ソーシャルワーカーの勉強をしたけれど、なんか違うな、と思ってここへ来た。自分の感情にとても正直で、喜怒哀楽がとても激しい。Embercombeに来る前に彼氏ができ、当初とても不安定で、それこそとんでもない子だったが、最近は落ち着いている。 
  • ルイ:8年間の兵役中は、イラクへの2回の派兵経験あり。アフガニスタンへ行くことになりそうになった時に除隊を申し出。退役後、精神的に不安定になり、アルコール&ドラッグ中毒になってしまった模様。現在は中毒症状などからは脱しているが、今もPTSDと思われる症状に苦しんでいる。タトゥーだらけのいかついヤツだけれど、ここへ来る前は子供達向けのボランティア活動に従事していたりと、基本的には明るく楽しい男。もうすぐ8歳になる息子がいる。ケイトのことが好きだが、やんわり断られている。(私はどちらとも親しく、どちらの話も聞いていて、私は2人とも大好きだが、ルイにはなんとも言えない。)29歳、男。

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  • ジョス:29歳、男。ネイティブアメリカン文化に傾倒していて、思った以上に入れ込んでいる。明るかったり自分の世界に入っていったり、壁を感じることが多かった。Embercombeにかける情熱もものすごく高く、Embercombeでの3ヶ月プログラム終了後、滞在延長させてもらうために自分をアピールすべく、時間外でワークショップを開催したりと、ギラギラしていた。しかし、2名の延長枠に対し彼含む3名が応募。結局ルイとシオにその座を奪われてしまった(正直二人とも心身に問題を抱えていたので、この決定にはみんな少し驚いた)。彼がえらいのはここからで、それでも変わらずみんなに時間外、むしろ以前より人当たりがよくなった。
  • キロラン:23歳、女。文学部を卒業して、ちょっとゆっくりするためにここに来た。本を読んだり草木でツリーを作ったり、絵本の中から出て来たのかと思うような可憐さを持ち合わせつつも、「高校の頃はヌードにハマってて、授業でやって見せたのよ!」などという肝の据わったロンドンっ子。同期の中では1番若いけれどもたぶん1番落ち着いている。というより少し皮肉っぽい。こちらへ来た当初は嫌でしょうがなかったのだと思うが、最近は笑顔も多くなった。
  • わたし:日本人。日本の会社に勤めていたけれど、いろいろ目的はあるらしいが、つまるところ日本を出たくなり、ネットで見つけたEmbercombeに行こうとイギリスまでいきなり飛んで来た。下手くそな英語ながらもなんとか頑張っている。日本に夫を置いて来たらしいが、夫婦共々どうなっているのだとみんなからの疑問を買っている。28歳、女。

普段の様子

今のゲルで一緒なのはケイト、ディッテ、キロランです。ディッテは10時半にはたいていベッドに入ってしまい、さらに寝るときは寒いぐらいの方がいいということで、夜型のケイトと私(といってもみんなほぼ12時前には寝る)と生活時間が合わず、さらに彼女が寝静まろうかという時に薪ストーブに火をつけようものなら不機嫌な寝返りの声が聞かれます。

彼女としては、10時頃には火を止めて、寝床につきたいぐらいなのだそうで、これについて彼女から目をむくような勢いで「25度なんかになったら、私苦しくて死ぬの!寒かったらたくさん着ればいいけど、暑くて死にそうなのはどうにもならないでしょ!」と訴えられましたが(体格もいいので迫力もある)、私たち3人としても何が楽しくて零度を下回ろうかというゲルで寒さに震えながら寝られようか、というところなので、これについては「でも寝付けないし、あなたは先に寝るからいいけど、、」と勇気を振り絞って弁明しました。25度で人は死なないよ、とはとても言えなかったけれど。

ということもあり、ディッテは隙あらば一人で寝られる場所を探し回るようになったり、各自訪問者があったりと、最近はあまり4人揃いません。このところディッテはプライベートも落ち着いて来ているからか、薪ストーブで失敗して激暑にならなければ4人とも気持ちよく寝られるようになりました。

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私が普段よく話すのはケイト、ルイ、シオです。ジョスも気が合ってよく話していたのですが、途中から宗教がかっていたり、周囲への強い自己アピールなど、極端なところがしんどいなと思うようになってしまいました。ただ、延長ボランティアの話がうまくいかなくなってから、彼も少し穏やかになったような気がしています。本来はモチベーションが高く真面目な才能溢れる人だと思います。

休みの日は10kmほど離れたExeterの街に誰かの車に乗せてもらって買い物に行ったり、この秋はDartmoorという自然公園にたくさんキノコ狩りに出かけました。日本と違ってあまり山地はなく、だだっ広い草原に放牧された家畜がたくさんいる、というのがこちらの景色です。

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他にも以前から滞在している先輩ボランティアや有給スタッフもいますが、同時期に始めたこの8人とは特に笑いあり涙あり、喜怒哀楽忙しい毎日です。会社員になってから、大学のときみたいに友達ってなかなかできないなあ、という話をしたことがあるのですが、そのとき言われたのが「それはきっと、一緒に何かをするような、同じ濃い時間を過ごさないと手に入らないよ」と言われたのを覚えていますが、久々にまたこの先も友達でいられるような人が増えたことがうれしいです。

実はこの記事はここへ来て2週間ほど経った頃に書き始めてそのまま下書き状態にしていたのでした。今それを開いてみると、当時は「ちょっと掴めない」なんて書いていたのですが、この2ヶ月でみんなのこともよくわかるようになったなとも思いました。一方で、短期間で得た印象もそのままだったりと、それはそれでその人を知る上でもまた面白いものです。

http://embercombe.org/

正しくわるいことをする ー廃棄食材を求めてー

今週、日付も変わろうかという頃、スーパーに潜入し、盗みを働いてきました。この年になって、こんなことするなんて、思ってもみなかった。。

 

事の発端は先週Embercombe外で行われた、同僚ボランティアの誕生日祝いのホームパーティ。バンに乗り込んだ私たちは、とあるサービスエリアに駐車しました。ここで私が言われたのは、「トイレには行ってもいいけどお昼は買わなくていいよ。あるから」でした。え?と思ってしばらく待っていると、大きな袋をサンタのように抱えた二人。開けてみると、二袋まるまる、賞味期限切れの食べ物たち。

これどうしたの?と今日の収穫をしてきたアダムに聞いてみると、「廃棄食材用のゴミ箱から拾ってきた。ここのエリアのには詳しいから」とあっけらかんとした答え。

サンドイッチやパックのエビ、野菜にお菓子など、それはそれはたくさんの食べ物を手に入れた私たちは嬉々として食べました。私はゴミ箱からとってきた!?ということに一瞬ギョッとしましたが、食べていると不思議と感じたのは爽快感。ちょっと悪いことしてるけど、捨てられてしまったお肉や野菜を無駄にしてない!!という。結局パーティでもこのゴミ達が大活躍し、みんなで美味しくいただきました。

ゴミを盗んでも、違法にはならない

聞けば、一緒にいたフランス人形のようなかわいい女の子も、「私がロンドンに住んでたときもほとんど食べ物は買わなかったよ。いつもスーパーのゴミ箱から拾って食べてた。だってもったいないもの。普段はベジタリアンだけど、捨てられたお肉は食べるの。これは私が食べないといけない、という気がして」と。Embercombeには他にも何人かやったことがある人がいて、一般的ではないものの超特殊ということもない様子。(※ただし、Embercombeの人は多分一般的なイギリス人ではない)

 

そうか、これはカルチャーなのか、そうなんだな!と思った私は今アダムに色々と聞いてみました。 

彼曰く、「普段は肉は買わない。高いし、バカみたいな生産〜流通形態にお金を落としたくないから。大学にいた頃に始めて、当時は毎日のようにやってたよ。法律?曖昧なところで、違法にはならない。訴えた人もいるらしいけど、結局ゴミをとられても文句は言えない、って判決が出た。結局これやって誰も逮捕された人なんかいないんだ。人の所有地に入るのは良くないけど、出ていけって言われて出て行けばそれも違法にならない」とのこと。

おおお!と感動した私。今でもたまにやるの?次やるときは是非連れてって!とお願いし、それが冒頭の通り実現しました。

家族よ!すまぬ!こんなことしてる娘を妻を許して〜!と思いつつ、そろそろと夜の街へ。終業時間後のスーパーの屋外にある、大きなゴミ箱。まだきれいな野菜や食べ物などを見ていると少し悲しくなりました。アダム曰く、今日はあまりたくさんとは言えない収穫量だったようですが、それでもリュックにたくさん詰め込むくらいありました。

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暗闇の中、呼び止められる私たち

少しの高揚感を覚えつつ車に向かっていたところ、「おい!」と言われ、心拍数急上昇!そこに現れたのは警察…!ではなく男女二人組。

男「おい、さっきお前らがスーパーに入ってくの見たぞ。でもあんまりなかったろ?今日は俺たちがちょうどお前らの前に行ったからな。でもちょっと取りすぎたのもあるんだ、よかったら交換しないか?」

うわ。。なんて偶然。。でもやっぱり普通にこちらの一部の人のカルチャーみたいです。この二人も、よほどほしいものがない限り食材は買ったりしないそう。このエリアにいくつか行きつけがあって、たまに出没しているということでした。この行為、'Skipping'と言い、こういう生活をしている人はこの国には一定数いるようですが、別に彼らは貧乏でお金がないからこれをしているわけではありません。

やってみて、違法ではないと言いつつも、自らのイデオロギーや怒りをこうも強く持ち、それに対するアクションを貫く彼らのエネルギーは、日本人の私にはなかなか真似できないことだなと感じます。なぜこうなるのか、ここまでするのか、それは今の私にはわかりませんが、ひとつ思うのは、やっぱり圧倒的に彼らは日本人に比べてヒマなんじゃないかということです。ヒマというと失礼すぎるけれど、すべてに余裕があるような。

 

結局アダムと男は情報交換(&電話番号交換。今後いいものがあったら連絡し合うことになったらしい)し、私たちは興奮冷めやらぬうちにEmbercombeに戻りました。

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各国ではどのように捉えられているか

デンマークには賞味期限切れや傷物食材を専門販売するスーパー「We Food」があったり、フランスでは食材廃棄を禁ずる法律ができ、寄付や家畜肥料にしなければいけないということになっているようです。これに比べればイギリスは遅れているかもしれませんが、人々の意識という意味では日本よりも関心が高いのではないかと思います。

日本の場合はというと、上記のリンクにもあるように草の根レベルの活動はあるようですが、まだまだみたいです。年間1900万トンもの食材が捨てられ、私もこれを機に日本ではどうなっているのかと気になって調べてみたしたが、ホームレスに漁られないようにと踏み潰して捨てたりしているみたいです。

浮浪者がお店の周りにやってきたらあまりいい気分はしないだろうなというのはわかりますが、もし自分が店員だったら、そうやって食べ物を踏み潰していくうちに、それがどこから来ているのかにますます頭を働かせることができなくなるような、命をいただいている感覚などますます希薄になる気がするなどと、ゴミの朝食を久々のお肉だ!と味わいながら考える私でした。

Embercombeで考える、ビジネスとコミュニティとポリシーと

これまでもいくつか書きましたが、Embercombeには様々な個人・団体が訪れ、そう言った人々との交流がここにいる魅力でもあります。先週はサステナビリティ系の民間企業が会社の研修のようなものでEmbercombeを利用していました。ヨーロッパ・アメリカ・南米と各地に散らばるオフィスのメンバーが集まるイベントで、メンバーの親睦を深め、企業方針を浸透させる目的だそうです。私はたまたまこの企業(A社とします。)のホストという役割をすることになり、彼らの滞在をサポートすることになっていました。

世の中によりよく持続可能な変革をもたらすため、様々な業界の大小様々な企業に対しクリエイティブなコンサルタントをしている会社ということで、何となく面白そうな会社だなと楽しみにしていました。私も前職時代に何度かA社のような社内グローバルミーティングに参加したことがありますが、毎度いろいろな議論あり、発見があり、そしてただただ夜が更けるまで飲み踊る…というものでした。一般企業でこうなので、A社がEmbercombeとコラボしたらどうなるのかとワクワクしていました。

 

ところが蓋を開けてみれば、A社ほどがっかりした気分になったことはないくらい、残念な印象を多くのEmbercombeの人に残すものとなってしまったのです。

 

物議を醸すこととなったA社の滞在

A社の3泊4日の滞在の最終日、土曜日の朝。タクシーを見送った私はなんとも寂しい気持ちに包まれていました。きっと彼らはEmbercombe滞在を楽しみ、モチベーションに溢れ、世の中にプラスの影響を与えるような(少なくともそういう自意識でいる)人々なはず。しかしなぜこんなにも今私は後味の悪い思いでいるのだろうと、眠気の残る頭で考え始めました。

Embercombeの1日は、朝から始まり13時に昼食、キッチン担当でなければ17時には業務が終わり、18時半に夕食となっています。その後清掃担当がキッチンの掃除をして、遅くとも皆21時には仕事が終わります。ところが初日はA社の19時過ぎの到着に対し、窯焼きのピザを提供することになり、一人一人の注文を取っていると、すべて終わってみれば23時となっていました。

その後も13時の昼食の時間になってもミーティングが長引いて30分ほどの遅刻があったり、夜もマッチで暖炉に火をつけられないと言って終業後のボランティアらに不遜な態度で助けを求め、ブン取られるようにライターを貸してみたら返ってこない。夜中は飲み会となり、ゲルの周りで遅くまで騒いでいる…

最終日こそEmbercombeのスタッフもA社の人とケーリー(スコットランドの民俗ダンス)に招待され、その後もクラブ状態で踊っていましたが、最後まで「一緒に楽しむ」というものではありませんでした。タクシーにもさっさと乗り込み、同僚にのみ別れを告げていました。そして残ったのは至るところゴミの山。食べられることなく捨てられてしまった、肉を始めとする食べ物の数々でした。

 

この不快感は何なのか

今回A社の滞在は企業研修の一環ということで、ほとんどEmbercombeとの接点なく去ってしまった彼ら。この場所の意味や意義も、Embercombeが自然や動物をどう考えているかも知ることなく。

そういう彼らにとってEmbercombeは自然に囲まれた、ちょっとキレイでイケてる場所でしかなく、私たちのようなスタッフも、ここを形作るものではなくホテル会場などの従業員と映ったことでしょう。しかし考えてみればこれは多分全く普通の反応で、私もホテルで会議をしたりお店で飲食している時は、同僚以外はあまり頭になかったと思うし、ホテルや飲食店の従業員と同僚と混じってダンスなんてしない、普通。「17時で仕事終わりだから話してくれるなよ」なんてオーラを出されたら、サービス悪いな、と思うと思います。ゲル、電気もないし。

なぜ私は悲しい気持ちになっているのか。A社の人間は、けしからん集団なのか。しばらく考えていると、Embercombeという特殊な環境にいて、特殊な状況が当たり前となっていた自分に気づきました。

 

持続可能なコミュニティとして、Embercombeはどこへ向かうのか

A社の滞在について思うところあったのは私だけではなかったようで、彼らが去ってからミーティングが開かれ、私も参加しました。そこで今後はEmbercombeを選んだ人々にも最大限その価値を還元し、今後の気づきを得てもらうためにも、ただの場所貸しではなく我々のメッセージを伝える時間をいかなる団体とも持つようにしよう、となりました。(あとは、民間企業にお金を払って来てもらうなら、9/17時の就業感覚ではきっと甘いので、夜間シフト担当をつけたり、事前準備ももっと必要、とも。。)なぜゲルなのかなぜ電気がないのか、そういう話をしないならここでなくてもいいはずです。 

Embercombeは、あまりお金に余裕がある団体とは言えません。財政的にももっとサステナブルにするため、今変革の時にあるところです。今後はA社のような民間企業の滞在をより多く受け入れていきたいと考えているようです。しかしEmbercombeがEmbercombeとしての意義を全うし、かつコミュニティと共存しながらビジネスを回していくには、もっともっと考えていかなければならないところがあります。そこにポリシーがなければ、Embercombeがそのミッションを成し遂げられることができなくなります。

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Embercombeでの私の業務内容は、決して華やかなものではなく、掃除や修理、汚れ仕事のようなものが多くあります。しかしそれに対して私が喜びや満足感を感じていたのは、私がそこから得ていた一緒にいる人々からのポジティブな反応や幸せな時間の流れによるものだったのだと、改めて気づきました。この場所の価値をまた一つ感じるとともに、自分の周囲の労働に従事している人をどのような気分にさせるかも、また私の振る舞い次第なのだということにも、身につまされるような思いです。

 

 “Embercombe’s mission is to be a powerful and innovative catalyst for the emergence of leaders and change agents who will take courageous action for a just, peaceful and sustainable world.”

embercombe.org